ゴルフ3と高オクタン価ガソリン 生駒市へ
ワーゲンのパサートにガソリンを入れる。給油している姿がスマートに見えるのは、パサートだから。パサートは、頭が良さそうに見えるワーゲンの筆頭ですなあ。
ガソリン代、最近落ち着いて来たけど、まだ高い。一時は、ハイオクでもリッター100円しなかったこともあったのに。
ゴルフ3に乗っていた頃、頼まれて、東京から奈良の生駒市まで、先輩を送り届けることになった。夜半に連絡があり、次の日の昼前までに、どうしても、生駒に着かなくてはならない急用が出来た、助けて欲しいと。
ま、マジっすかあ??連日連夜の残業で、疲れております。夜中に走るのは、危のうございますし。
すまんが、お前しか頼るものがおらん、よろしく頼む。
上輩に頼まれて、嫌とは言えない。わかりました。では、何時に迎えにまいりましょうか?
今から、直ぐに来られるか?
はあ??
何時に来られる?
寝る時間はないのでしょうか?
寝ていたら、明日の11時に生駒には着けぬだろう?申し訳ないが、お願いしたい。燃料費と高速料金は、自分が負担するから。
ということで。

夜中の2時。冬。エンジンが温まるまで動かずに、じっと待つ。暖気という。当時は、これをすることで、クルマをいたわっているのだと思っていたが、地球を傷つけていたのかしら。
話はそれるが、アル・ゴアの『不都合な真実』、あれとは向き合いたくない。あのテーマ、マジになると、ワーゲンを楽しむという行為を諦めなくてはならなくなりそうで。それにしても、元米大統領候補は太った。マグマ大使のゴアを思い出した。
先輩を乗せて、ゴルフは西へ。途中、浜名湖PAで燃料補給をしておこう、という話しになった。クルマとの縁がなかった彼は、ガソリンに、レギュラーとハイオクがあることを知らなかった。そして尋ねる。
なぜ高い方のガソリンを選ぶのだ。俺が金を払うのは、約束だから良い、しかし種類は自分が選ぶ。安い方だ。
なななんと??
しっかり暖気を励行し、これまで大事にして来た愛車ゴルフ3。ハイオク仕様なのに、レギュラーなんて入れられてはたまらん。
このクルマはハイオク仕様だから、レギュラーガソリンは入れられないのです。
そんなこと知らん、ハイオクとはなんだ?
ええっと、ハイオクとは、ハイオクタン価ガソリンのことでして、ガソリン成分の中に、オクタン価という考え方があるのです、エンジン内でノッキングを起こりにくくしている…、そのお、なんというか、つまり、自動車のエンジンは、ガソリンが燃焼する際に起こる爆発力を、ピストン運動に変えて、動力を得ているわけでして、その爆発は、エンジンプラグの点火によってタイミングが測られているはずで、しかし、実際には、予期せぬ発火が起こることがありまして、それを回避するために、燃えにくいガソリンにする必要があります、それをオクタン価という数値をもって測るわけですが…。
お前の言う燃えにくいガソリンより、よく燃えるガソリンの方が安いではないか。そっちで良い。
ししししまった、燃えにくいというのは違いました、ええっとなんて言えば良いんだ、そ、その、刺激に弱いというべきか、安定した発火を得やすいという感じで…。
お前の説明はわからん。どうしても燃えにくいガソリンが必要だというのなら、自分で金を払って入れれば良いだろう?俺に遠慮はいらんよ。
へ?
なんだか物悲しいドライブになってしまった。彼は助手席のシートを深く倒して、いびきをかき始める始末。大きなトラックがもの凄いスピードで先を争うようにして走る道。なんのために、俺は、今、クルマを運転しているのだろう。彼のためか。自分のためか。
嫌だったら断ればよかった。それが出来なかった。弱い自分が悪い。ハイオクのことを上手く説明できなかった。もっとシンプルに説明できるよう、日頃から考えを整理しておけばよかった。いつどこで誰に高オクタン価燃料のことを質問されても、答えができるように。でも、そんな、まさか。
ただでさえ、多恨な人生を送っている。またここでひとつ、嫌な思いを背負うことはない。まあ、こんなことだってあるよ。自分を守るために、よく使う言葉。「これで良かったんだよ」。
腹立たしさのおかげで、眠気が吹っ飛んだじゃないか、良かったんだよ。ゴルフで長距離を走るのは楽しいじゃん。よかったんだよ。こんなことでもなければ、朝の浜名湖を見ることもなかったし。良かったなあ。目が点になる、という経験もそうそう出来るもんじゃない。よかった、よかった…。
無事、先輩の用には間に合った。よかった。彼の後ろ姿を見て、安心して、帰路に着く。トンボ帰りなの。でも、帰りの高速代は誰が出すんだろう。
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